最初に確認したい「売上」ではなく「所得」

生成AI副業の税金を考えるとき、最初に区別したいのが収入と所得です。収入は顧客やプラットフォームから受け取った総額、所得はそこから必要経費を差し引いた金額です。たとえば年間の売上が30万円で、仕事に必要な費用が8万円なら、原則として所得は22万円として計算します。

会社員が勤務先の給与を受け取りながら、原稿作成、画像制作、資料作成、AI導入支援などで得た副収入は、規模や継続性によって事業所得または業務に係る雑所得などに区分されます。副業を始めたから自動的に事業所得になるわけではなく、実態に応じた判断が必要です。国税庁は、副業などの報酬について、事業に当たらない程度であれば一般的に雑所得に該当する例を示しています。 (出典:nta.go.jp)

2026年中に得た所得を申告する場合、通常は2027年の確定申告期間が対象です。現時点で過去の申告例をそのまま使わず、申告時期に国税庁の最新案内と、自分が住む市区町村の案内を確認してください。

  • 収入から必要経費を引いた後の金額が所得
  • 所得区分は副業の規模、継続性、営利性、帳簿の状況などを総合的に確認
  • AIを使ったこと自体ではなく、誰にどんな成果物を提供したかが重要

生成AI副業で経費にしやすい支出

必要経費は、収入を得るために直接必要だった費用です。国税庁は、売上原価、地代家賃、減価償却費などを例として挙げています。生成AI副業では、AIサービスの月額料金、画像・音声素材の購入費、業務用の外注費、販売サイトや決済サービスの手数料、仕事専用のドメインやオンラインストレージなどが候補になります。 (出典:nta.go.jp)

ただし、支払ったものを全額経費にできるとは限りません。AIサービスを趣味や学習にも使っているなら、仕事で使った割合だけを計上するのが基本です。パソコンやスマートフォンも同じで、仕事専用なら説明しやすい一方、私用と共用している場合は使用時間、使用日数、容量など合理的な基準で按分します。国税庁の副業向け計算表でも、通信費や事務所経費などに副業以外の利用が含まれる場合、副業に関係する部分だけを必要経費とする考え方が示されています。 (出典:nta.go.jp)

高額なパソコンなどは、購入年に全額を消耗品費にできず、減価償却が必要になる場合があります。金額や使用期間によって扱いが変わるため、購入前に国税庁の説明や税理士へ確認するのが安全です。

  • AIサービス料金、業務用素材、外注費、販売手数料
  • 仕事専用のドメイン、ストレージ、業務用通信費
  • パソコンやスマートフォンの仕事利用分
  • 打ち合わせの交通費や、業務に直接関係する資料・書籍代
  • 領収書、請求書、利用明細、按分根拠をまとめて保存

経費にしにくい支出と記録の作り方

経費にしにくいのは、仕事との関係を説明できない生活費です。普段の食事代、趣味のサブスクリプション、根拠のない家賃や光熱費の全額、売上に結び付かない高額な講座などは、単に「副業に使った」と書くだけでは不十分です。取引先との打ち合わせであっても、日時、相手、目的、金額を記録し、私的な飲食と区別できるようにします。

おすすめは、支出のたびに「日付、金額、支払先、勘定科目、仕事で必要だった理由、仕事利用割合」を1行で記録する方法です。AIサービスなら、どの案件で使ったか、契約プラン、利用期間、請求書番号も残します。クレジットカード明細だけでは内容が分からないことがあるため、請求メールや領収書も一緒に保存します。

副業の業務に係る雑所得では、前々年の収入金額が一定額を超える場合に、取引関係書類の保存義務が生じます。少額のうちから記録を習慣化しておくと、申告の要否を確認するときにも役立ちます。 (出典:nta.go.jp)

  • 購入前に「この支出がなくても売上を得られたか」を考える
  • 私用と共用するものは、按分ルールを先に決めて毎年一貫させる
  • 現金払いでも領収書と利用目的を残す
  • 売上台帳と経費台帳を分け、入金日と請求日も記録する

会社員の確定申告を確認する手順

年末調整済みの会社員は、給与以外の所得が一定範囲内なら所得税の確定申告が不要になる場合があります。代表的な目安として、1か所から給与を受け、給与以外の所得金額の合計が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。ただし、給与の状況、医療費控除や寄附金控除、源泉徴収の有無などで結論が変わります。20万円は売上ではなく、原則として経費差引後の所得で判定します。 (出典:nta.go.jp)

確認は、次の順番が実務的です。まず、1月から12月までの副業売上を集計します。次に、仕事に直接必要な経費を整理し、所得を計算します。そのうえで、源泉徴収票の給与情報、他の副収入、控除の有無を確認し、国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力します。申告が必要と表示されたら、マイナンバーカード方式などでe-Tax送信するか、案内に従って書面提出します。国税庁は、作成コーナーで申告書作成からe-Tax送信まで行えると案内しています。 (出典:e-tax.nta.go.jp)

副業所得が20万円以下でも、所得税の還付を受けるために確定申告をする場合は、副業所得も含めて申告する必要があります。また、確定申告をする場合、住民税だけ別に申告するのではなく、確定申告書の住民税に関する項目も確認します。

  • 売上を集計する期間は原則として1月1日から12月31日
  • 売上ではなく、売上から必要経費を引いた所得を確認
  • 給与以外の所得が20万円以下でも、住民税申告が必要な自治体がある
  • 申告する場合は源泉徴収票、売上資料、経費資料、控除資料を準備

住民税は「所得税が不要なら何もしない」ではない

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。大阪市や横浜市は、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要でも、市民税・県民税の申告が必要になると案内しています。住民税の申告方法や期限は自治体によって異なるため、1月1日時点の住所地の市区町村役所で確認してください。 (出典:city.osaka.lg.jp)

会社に副業を知られたくないという理由で、住民税の「自分で納付」を選べば必ず勤務先に通知されない、と考えるのは危険です。自治体の運用や所得の種類によって扱いが異なり、給与所得に係る住民税は原則として給与から差し引く特別徴収とされています。確定申告書で選択できる項目は、給与以外の所得に対する徴収方法に関するものです。選択欄を確認したうえで、最終的には住所地の自治体へ相談してください。 (出典:tax.metro.tokyo.lg.jp)

確認手順は、自治体名と「住民税 副業 申告」で公式ページを探し、所得税の申告不要基準と住民税の申告要否を分けて読むことです。申告しないことで、課税証明書や国民健康保険料などの算定に影響する可能性を案内する自治体もあります。 (出典:city.yokohama.lg.jp)

  • 住民税は所得税とは別に申告要否を確認する
  • 確認先は、1月1日時点の住所地の市区町村
  • 確定申告書の住民税に関する事項を入力前に確認
  • 徴収方法の選択だけで勤務先への通知を完全に防げるとは限らない

注意点と失敗を避ける方法

生成AI副業では、税金以外にも著作権、個人情報、秘密保持契約、納品物の品質確認が関係します。AIが作った文章や画像をそのまま納品し、誤情報や第三者の権利侵害が発生すると、修正作業や信用低下につながります。税務上も、AI利用料を経費にするなら、実際の案件との対応関係を説明できることが重要です。

よくある失敗は、売上だけを記録して経費の証拠を残さないこと、家賃や通信費を全額計上すること、20万円基準を売上で判断すること、住民税の確認を後回しにすることです。副業が継続的になり、取引先が増え、帳簿や請求管理が複雑になったら、青色申告の選択肢を検討してもよいでしょう。ただし、青色申告特別控除には記帳、申告書類、期限、e-Taxなどの条件があります。65万円控除を前提にせず、要件を満たせるかを先に確認してください。 (出典:nta.go.jp)

税務判断が難しいケース、赤字の扱い、家族への給与、高額な設備、消費税やインボイス制度が関係するケースは、税務署の相談窓口や税理士など専門家に確認しましょう。この記事は一般的な確認手順であり、個別の税額や申告義務を断定するものではありません。

  • AI出力は事実、著作権、個人情報、契約上の守秘義務を確認してから納品する
  • 経費は「使った」ではなく「収入を得るために必要だった」と説明できる状態にする
  • 20万円基準は売上ではなく所得を確認する
  • 青色申告の控除額だけを目的に無理な開業・記帳をしない
  • 迷ったら税務署または税理士に、資料を見せて具体的に相談する

今日から試すチェックリスト

まずは過去1か月分の副業関連の入出金を集め、仕事用の記録を作ります。作業時間は30分から1時間程度を目安にし、最初から会計ソフトを契約する必要はありません。表計算ソフトや紙で始め、取引数が増えた段階で有料サービスを比較する方法もあります。

  • 副業の仕事内容を1文で説明する
  • 今年の売上を入金日ベースで一覧にする
  • AIサービス、素材、外注、手数料の領収書を保存する
  • 共用機器や通信費の仕事利用割合を仮決めする
  • 売上から経費を引いた所得を試算する
  • 勤務先の給与以外の所得が20万円を超えるか確認する
  • 住所地の市区町村公式サイトで住民税申告の要否を確認する
  • 確定申告書等作成コーナーで入力を試し、必要書類を洗い出すまで進める